ANAの上級会員向けに発行される「スーパーフライヤーズカード(SFC)」は、優先搭乗やラウンジ利用など飛行機に乗る際のサービスに大きなメリットがある一方、旅行や出張での安心を支える付帯保険も備わっています。特に海外旅行保険は、カードの種類(一般/ゴールド/プレミアム)やブランド(JCB/VISA/Mastercard/アメリカン・エキスプレス/ダイナースクラブ)によって内容や条件が異なります。
しかし「自動付帯か利用付帯か?」「補償額はどのくらい?」「ゴールドやプレミアムで何が違うの?」など、公式ページを読んでも分かりにくい部分も多いのが実情です。
そこで本記事では、スーパーフライヤーズカード全種類の海外旅行保険を網羅的に解説し、さらに補償内容の比較表や注意点も整理しました。これからSFCを作ろうとしている方、すでに所有していて保険内容を改めて確認したい方にとっても役立つ内容になっています。
- ANAスーパーフライヤーズカード(一般/ゴールド/プレミアム)の種類と基本の違い
- 海外旅行保険の「自動付帯」と「利用付帯」の仕組みと注意点
- 補償内容と補償額をまとめた一覧表(カード種類・ブランド別)
- 海外旅行保険以外の付帯保険(国内旅行保険・ショッピング保険など)
- 実際に保険を利用する流れ(事故発生から請求まで)
- 他社カードや任意保険との併用のポイント
スーパーフライヤーズカードとは?

スーパーフライヤーズカード(SFC)の概要
スーパーフライヤーズカード(SFC)は、ANAの上級会員資格「ANAプラチナサービス」以上を取得した会員だけが申し込めるクレジットカードです。一度発行すれば、毎年の飛行機搭乗実績に関係なくSFC会員資格を継続できる点が最大の特徴です。
そのため、長期的にANA便を快適に利用したい人にとって、特別なステータスカードとして人気があります。
SFCで利用できる主なサービス
SFC会員になると、以下のようなフライト関連サービスを継続的に利用できます。
- 国内外の空港ラウンジ利用(ANAラウンジ・スターアライアンス加盟航空会社ラウンジなど)
- 優先チェックインカウンターの利用
- 優先搭乗、手荷物受け取りの優先サービス
- 無料手荷物許容量の優待
- 特典航空券の優先予約枠
これらの特典は、旅行や出張でANAを利用する際の快適性を大きく高めてくれます。
SFCカードの種類とラインアップ
SFCには複数の種類があり、一般カード、ゴールドカード、プレミアムカードの3階層に分かれています。さらに、発行ブランドによっても細かい違いがあります。
- 一般カード:年会費が比較的安く、必要最低限の特典を備えたエントリーモデル
- ゴールドカード:SFCの中心的な位置づけ。旅行保険やショッピング保険など付帯サービスが充実
- プレミアムカード:年会費は高額だが、補償額やサービスが最も手厚い最上位モデル
発行ブランドは以下のとおりです。
- JCB
- VISA/Mastercard(三井住友カード)
- アメリカン・エキスプレス
- ダイナースクラブ
スーパーフライヤーズカードの海外旅行保険の基本
自動付帯と利用付帯の違い
クレジットカードの海外旅行保険には大きく分けて 「自動付帯」 と 「利用付帯」 があります。
- 自動付帯:カードを持っているだけで保険が有効になる方式
- 利用付帯:旅行代金(航空券やツアー代金など)をカードで支払った場合にのみ保険が有効になる方式
スーパーフライヤーズカードの場合、多くのブランド・種類で海外旅行保険は自動付帯 となっており、カードを持っているだけで出発日から適用されます。
ただし、一部の補償や特典は「利用付帯」の条件が付く場合もあるため、発行ブランドやカード種類ごとの約款を確認することが重要です。
SFCカード共通の保険ルール
スーパーフライヤーズカード全体に共通する基本的なルールは以下の通りです。
- 海外旅行保険は主に 傷害死亡・後遺障害、治療費用、携行品損害、救援者費用 などが対象
- 補償内容・金額はカードの種類(一般/ゴールド/プレミアム)によって異なる
- 保険期間は原則として 日本を出発してから最長90日間
- 家族会員カードにも同様の保険が付帯(ただし補償額は異なる場合あり)
ゴールド・プレミアムでの違い
- 一般カード:最低限の補償内容。海外旅行保険としてはやや手薄
- ゴールドカード:治療費用や携行品損害の補償額が増え、旅行者にとって安心感が高い
- プレミアムカード:最上位クラスで、補償額が大幅に引き上げられている
特に海外旅行では 治療費用の補償額が重要 です。一般カードでは不足しがちですが、ゴールドやプレミアムならある程度安心できる水準になります。
補償内容と補償額一覧(ブランド別)
スーパーフライヤーズカードの海外旅行保険は、発行ブランドごとに補償内容や付帯条件が異なるのが特徴です。以下の表は主要ブランドごとの代表的な補償額の比較です(一般/ゴールド/プレミアムの違いも含む)。実際の内容は発行会社の約款をご確認ください。
- VISA・Master
- JCB
- Amex
- ダイナース
補償内容 | 一般カード | ゴールドカード | プレミアムカード |
---|---|---|---|
傷害死亡 | 自動:最高5,000万円 | 利用:最高5,000万円 | 自動:最高1億円 |
後遺障害 | 自動:200〜最高5,000万円 | 利用:最高5,000万円 | 自動:最高1億円 |
傷害治療費用 | 自動:最高150万円 | 利用:最高150万円 | 自動:最高500万円(1事故の限度額) |
疾病治療費用 | 自動:最高150万円 | 利用:最高150万円 | 自動:最高500万円(1疾病の限度額) |
賠償責任 | 自動:最高2,000万円(1事故の限度額) | 利用:最高3,000万円(1事故の限度額) | 自動:最高1億円(1事故の限度額) |
救援者費用 | 自動:最高100万円(1年間の限度額) | 利用:最高100万円(1年間の限度額) | 自動:最高1,000万円(1年間の限度額) |
携行品損害 | 自動:最高50万円(1旅行中かつ1年間の限度額) | 利用:最高50万円(1旅行中かつ1年間の限度額) | 自動:最高100万円(1旅行中かつ1年間の限度額) |
補償内容 | 一般カード | ゴールドカード | プレミアムカード |
---|---|---|---|
傷害死亡 | 自動:最高5,000万円 | 自動:最高5,000万円 利用:最高1億円 | 自動:最高1億円 |
後遺障害 | 自動:200〜最高5,000万円 | 自動:最高5,000万円 利用:最高1億円 | 自動:最高1億円 |
傷害治療費用 | 自動:最高150万円 | 自動:最高300万円 | 自動:最高1,000万円 |
疾病治療費用 | 自動:最高150万円 | 自動:最高300万円 | 自動:最高1,000万円 |
賠償責任 | 自動:最高2,000万円(1事故の限度額) | 自動:最高1億円 | 自動:最高1億円 |
救援者費用 | 自動:最高100万円(1年間の限度額) | 自動:最高400万円 | 自動:最高1,000万円 |
携行品損害 | 自動:最高50万円(1旅行中かつ1年間の限度額) | 自動:最高50万円(1旅行につき) | 自動:最高100万円(1旅行につき) |
補償内容 | ゴールドカード | プレミアムカード |
---|---|---|
傷害死亡 | 利用:最高1億円 | 利用:最高1億円 自動:最高5,000万円 |
後遺障害 | 利用:最高1億円 | 利用:最高1億円 自動:最高5,000万円 |
傷害治療費用 | 利用:最高300万円 | 自動:最高1,000万円 |
疾病治療費用 | 利用:最高300万円 | 自動:最高1,000万円 |
賠償責任 | 利用:最高4,000万円 | 自動:最高5,000万円 |
救援者費用 | 利用:最高400万円 | 自動:最高1,000万円 |
携行品損害 | 利用:最高50万円(1旅行につき)1年間の限度額100万円 | 自動:最高100万円(1旅行につき)1年間の限度額100万円 |
補償内容 | 一般カード | プレミアムカード |
---|---|---|
傷害死亡 | 利用:最高1億円 | 利用:最高1億円 |
後遺障害 | 利用:最高1億円 | 利用:最高1億円 |
傷害治療費用 | 利用:最高300万円 | 利用:最高1,000万円 |
疾病治療費用 | 利用:最高300万円 | 利用:最高1,000万円 |
賠償責任 | 利用:最高1億円 | 利用:最高1億円 |
救援者費用 | 利用:最高400万円 | 利用:最高500万円 |
携行品損害 | 利用:最高50万円(1旅行につき)1年間の限度額100万円 | 自動:最高100万円(1旅行につき)1年間の限度額100万円 |
利用付帯の条件と違い
スーパーフライヤーズカードの海外旅行保険は、多くが自動付帯ですが、一部の補償は「利用付帯」として条件を満たす必要があります。
利用付帯というと「飛行機のチケットをカードで買わないとダメ」と思われがちですが、実際には 空港までの電車やバス代をカード払いするだけでも対象 になります。
ただし、ブランドごとに条件が異なるため注意しましょう。
利用付帯条件のブランド別比較表
ブランド | 利用付帯の条件 | 特記事項・注意点 |
---|---|---|
VISA/Master(発行:三井住友カード) | 出国前に 公共交通機関(飛行機・電車・バス・船・タクシー) または 募集型企画旅行(パッケージツアー) の料金をカード払いした場合 | 出国後の支払いも対象だったが、2025年10月16日以降は廃止(改悪) |
JCB | 出国前に 公共交通機関 または 募集型企画旅行 の料金をカード払いした場合 | 出国後の支払いは対象外 |
ダイナースクラブ | 出国前に 公共交通機関 または 募集型企画旅行 の料金をカード払いした場合 | 出国後の現地交通費も対象 → 他ブランドより柔軟 |
アメリカン・エキスプレス(Amex) | 出国前に 公共交通機関(飛行機・電車・バス・船 ※タクシーは対象外) または 募集型企画旅行 の料金をカード払いした場合 | タクシー代は対象外なので要注意 |
補償が適用されないケースと注意点
SFCカードの付帯保険は便利で安心ですが、すべてのケースで補償されるわけではありません。以下のような場合は対象外になるので注意しましょう。
補償対象外となる主なケース
- 持病や既往症の治療(出発前から治療を受けている病気など)
- 危険なスポーツやレジャー(スカイダイビング、モーターボートなど)
- 戦争・暴動・テロによる被害
- 飲酒や薬物が原因の事故
- 故意による事故や自傷行為
注意しておきたいポイント
- 医療費の上限はカードごとに異なるため、長期滞在や医療費が高額な地域では 別途海外旅行保険の加入を検討するのが安心。
特に必要な補償を選んで加入できる損保ジャパンなどの保険会社のプランが適しているでしょう。 - 家族特約が付くかどうかはカードによって違う → 家族旅行では必ず確認。
- 利用付帯のカードでは、出国前に公共交通機関やツアー代金をカードで支払うことが補償を受けるための前提条件。
まとめ
ANAスーパーフライヤーズカードの旅行保険は、多くのケースで 自動付帯 となっており、カードを持っているだけで補償を受けられる点は大きなメリットです。
ただし、医療費の高い国や長期旅行の場合には、補償額だけでは不十分になる可能性があります。
保険が十分なケース
- 短期旅行(1〜2週間程度)
- 日本から近い地域への旅行(アジア圏など)
追加で保険を検討すべきケース
- 医療費の高い国(アメリカ・カナダなど)
- 1ヶ月以上の長期旅行
- 高価なパソコンやカメラなどを持ち歩く場合
最後に
旅行保険を効果的に使うためには、現在保有しているクレジットカードの適用条件や補償内容を確認することが最も重要です。
必要に応じて、他のカードの保険と組み合わせたり、別途保険に加入してリスクに備えるのが安心です。
必要な補償を選んで加入できる損保ジャパンなどの保険会社のプランが便利だと思いました。
▶ 他のクレジットカード付帯保険についても詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。