九州から関西への移動手段として便利なフェリーさんふらわあ。今回は大分港から神戸港への夜行フェリー「さんふらわあごーるど」に乗船し、その快適な旅の様子を詳しくご紹介します。
西大分駅からフェリーターミナルへのアクセス、乗船手続き、船内の設備や過ごし方、到着後の神戸港から阪神御影駅までのアクセスまで、実際の体験をもとに解説します。
前回、神戸から大分行で乗船した「さんふらわあぱーる」については下記の記事を御覧ください。
西大分駅からフェリーターミナルまでのアクセス

大分駅から1駅の「西大分駅」は、長い歴史を持つ木造の無人駅です。もともと貨物駅として発展したと思われるこの駅を降りると、昔の倉庫の建物が点在し、かつて物流拠点として栄えていた形跡が残る風景。
ここからフェリーターミナルまでは徒歩で約10分ほどの距離ですが、道中にはいくつか立ち寄れるスポットもあります。
※大分駅からのJRは1時間に3本程度、別府駅からは1時間に2本程度の運行です。フェリーの乗船手続きの締め切り時間を事前に確認し、余裕を持って移動すると安心です。
徒歩での所要時間とルート
西大分駅を出てまっすぐ歩いていくと、すぐに港方面へと向かう道が見えてきます。道は平坦で、スーツケースを転がしながらでも無理なく歩ける距離です。途中にはコンビニや飲食店も点在しているので、船内での食事や軽食の準備をするのにも便利です。
途中のコンビニや飲食店情報
フェリーターミナルまでの道中には、以下のようなスポットがあります。
- ローソン大分浜の市二丁目店:飲み物やお菓子など、船内での軽食を手軽に調達できます。
- マクドナルド10号西大分店:時間つぶしにも便利で、出発前にちょっとした食事を取るのに最適です。
- 鳴門うどん西大分店:九州で人気のうどんチェーン。特徴的なのは、なんと麺が3玉まで同一料金という驚きのサービス。特に「ごぼ天うどん」は九州らしさを感じるメニューで、次回大分を訪れる際にはぜひ立ち寄りたいお店です。
フェリー内の食堂や売店を利用する予定でも、夜遅くまで営業しているわけではないため、乗船前に軽く食事を済ませたり、おにぎりやパンなどを買い込んでおくと安心です。
大分港フェリーターミナルでの手続き

大分港フェリーターミナルは、六甲アイランドのターミナルと同様にこぢんまりとした造りになっています。ターミナル内の待合室は2階にあり、売店はありませんが、自動販売機やコインロッカーが設置されており、最低限の設備は整っています。

乗船手続きの締切時間
フェリーの乗船手続きは、出航時間の60分前までに行うことが原則です。時間に余裕を持ってターミナルへ到着するのが安心です。
チケットの受け取り方法
2025年3月5日(水)出港便より、「スマート乗船チェックイン」システムが導入されました。Web予約で事前に支払いを済ませた場合(詳細条件については「さんふらわあ」の公式サイトを参照)、乗船当日に登録したメールアドレス宛にQRコード付きのメールが配信されます。
このQRコードを使用することで、
- 乗船手続きが不要
- そのままフェリーに乗船可能
- 部屋の鍵の開け閉めもスマートフォンで完結
といった利便性の高いサービスを利用できます。
従来通り、ターミナル窓口でのチェックインも可能ですが、新システムを利用することで、よりスムーズな乗船が可能となっています。
乗船手続きと乗船
乗船開始は18:20頃から始まりました。待合室のあるフロアには乗船口があり、係員にQRコードをスキャンしてもらいスムーズに乗船できます。(1件の予約で複数人乗船する場合は代表者1名がQRコードをスキャンしてもらい乗船します。そのため乗船時には同時に乗船する必要があります。)
乗船は本船の4階部分から行われ、船内に入るとすぐにエレベーターと階段が設置されています。そこからメインフロアである5階へ上がることができ、客室やレストラン、大浴場などの主要施設へアクセスが可能になります。
室内&船内施設の紹介
船内は、往路で乗船した「さんふらわあぱーる」とほとんど同じ雰囲気です。シートの色や備品の配置に若干の違いはありますが、大きな差は感じられません。しかし、売店の品揃えや船内の案内には少し違いがあり、特に売店では人気商品の紹介の看板があったり情報が充実していました。
スタンダードルーム
「さんふらわあごーるど」でも行きの「さんふらわあぱーる」同様スタンダードルームを2名で利用しました。
室内のレイアウトなどはほぼ同じだったため写真は撮影していませんでしたので「さんふらわあぱーる」のものを掲載しておきます。


- 広さ:4.5㎡
- 設備:洗面台、テレビ、ハンガー、ナイトウェア、ゴミ箱、靴べら、コンセント(机の横に2個、洗面台に1個)
- 備品:スリッパ、ロゴ入りタオル、歯ブラシ、ハンドソープ、衣類用消臭スプレー、コップ
- 快適度:1名用の部屋で、追加の2段ベッドを使用して2名で利用したため、やや手狭に感じました。しかし、個室であることでパーソナルスペースが確保され、ストレスなく過ごすことができました。
船内施設
館内施設に関しては、先に乗船した「さんふらわあぱーる」とほとんど同じでした。
ただし、売店のラインナップやPOPなどに、乗組員さんの違いからか少し異なる部分があり、その違いを感じるのも楽しいひとときでした。







QRキー再発行機
前回、紹介しきれなかったQRコード再発行機についても紹介したいと思います。こちらは6階の階段横にあり、電子レンジの近くに設置されています。
この機械は、携帯に保存しているQRコードをかざすことで、紙製のQRコードを複製することができる便利な設備です。もし、携帯のQRコードが部屋の鍵の読み取り機にうまく反応しない場合でも、こちらを利用すればスムーズに開錠できるので、とても重宝しました。



大分港出港

本船の出港は19時20分の予定でした。出港の15分前、船員の方が銅鑼を持って現れ、出港間近を告げる銅鑼の音が鳴り響きました。この銅鑼の音が非常に大きく、長い時間鳴らされるため、船がいよいよ出港するという実感が湧きます。近年、カーフェリーなどでは録音された銅鑼の音を鳴らすケースが増えているそうですが、実際に銅鑼を鳴らしてくれるのは、旅行者としてはとても旅情を感じさせてくれる瞬間でした。

本船は予定通り19時20分に西大分港を出港。時期的に日はすでに落ちており、真っ暗な中での出港となりました。この日は特に気温が低く、風が非常に強かったため、甲板で出港の風景を楽しんでいたものの、寒さに耐えきれず早々に船内に戻りました。季節柄、ほとんどの乗客は船内で出港の時間を過ごしていたようです。
出港後、船内を一通り探索し、事前に購入していたもつ鍋を船内の電子レンジで温めていただきました。船内の設備も快適で、まるで自宅のようにリラックスしたひとときを楽しむことができました。
その後、売店でお酒と鶏皮のおつまみを購入し、売店前のプロムナードにあるソファでゆっくり味わいました。そこでは、それぞれが自由に過ごしており、食事を楽しむ人、仲間と会話を弾ませる人、スマホを見ている人など、様々な人々の時間が流れていました。
その後、大浴場に行くことにしました。出港後1時間ほど経ったタイミングだったので、まだ食事中の人が多かったのか、浴場内には人が少なく、ゆったりと入ることができました。しかし、この日は低気圧が近づいていて、風が非常に強く、船が通常よりもかなり揺れていました。そのため、大浴場の湯船の水が右へ左へと大きく揺れ、溢れ出すこともありました。
入浴後は、自室でリラックス。船の揺れはその後もしばらく続き、持参していた酔い止めを飲んでおくことにしました。翌朝は早く到着予定だったため、早めに就寝。
神戸港入港

翌朝、神戸港六甲アイランドへの入港は予定通り6時40分。夜が明けた頃、船内に放送が流れ、入港予定時間やレストラン、売店の営業について案内がありました。私は今回はレストランを利用せず、売店でパンを購入。さらに、案内所で淹れたてのコーヒーを手に入れ、朝食としてゆっくりと楽しむことにしました。


6時40分、船は神戸港に無事着岸。船内の案内に従い、5階の案内所前にある下船口から下船します。そこからは六甲フェリーターミナルの3階へ続く階段を利用し、1階の入口へと向かいました。入口前には神戸フェリーバスがすでに到着していましたが、ほぼ満員の状態。バス停前のスタッフからは「次のバスがすぐに来ますので、少々お待ちください」と案内がありました。
少し待つと、次のバスが到着。すぐに乗り込むことができました。バスを待っていたおかげで座ることができ、出発自体も2〜3分の遅れ程度で、急いで乗る必要は全くありませんでした。
帰りのバスは後払い制で、ルートは六甲アイランド北口、阪神御影駅、JR住吉駅、阪急御影駅の順で停車します。もし、平日6:52発(土・日7:12発)のバスに乗り遅れたとしても、阪九フェリー始発のバス(平日7:12発、土・日8:32発)があるので、焦ることなく次の便を待つことができるのも安心です。
約20分後、阪神御影駅近くのバス停に到着。料金(大人230円 小人120円)を現金で支払い、無事に今回の旅行を終了しました。

まとめ
今回、私はJRで最寄りの西大分駅まで向かい、そこから徒歩でフェリターミナルに向かって乗船するという形を取りました。事前に電車の時間さえしっかり確認しておけば、駅に到着してから迷うことなくスムーズに徒歩移動ができ、特に不安もなく快適に感じました。
船については、大阪と別府を結ぶ「さんふらわあ くれない・むらさき」と比較すると、少し古さを感じる部分もありましたが、それでも設備はきれいで、十分に快適に過ごせる空間が広がっていました。
今回の乗船は冬場で、ちょうど寒波が来ていたためか、瀬戸内を航行する船としては予想以上に揺れを感じることがありました。これまで夏場に乗ったことが多く、ほとんど揺れを感じなかったことから、その点は少し意外でした。船酔いが心配な方は、念のため酔い止めを持参しておくと安心だと感じました。
「さんふらわあ」は夕方発の早朝着便で、到着後は時間を無駄にすることなくスムーズに行動できるため、動ける時間が多く取れる点が大きな魅力です。個室を利用すれば、プライバシーを保ちながら快適に寝たまま移動できるのも素晴らしいポイントです。
次回、大分に行く際にはぜひこの船を利用したいと思っています。さらに、「弾丸フェリー」というユニークな企画もあり、この特別なプランを利用した旅行もぜひ体験してみたいと思います。