海外旅行や出張の際、クレジットカードに付帯する旅行保険だけで十分なのか、それとも別途旅行保険に加入すべきなのか、迷うことがあるかもしれません。
特に、アメリカン・エキスプレス・プラチナカード（以下、アメックスプラチナ）は充実した旅行保険が付帯しており、高額な補償額を誇ります。しかし、補償には「自動付帯」と「利用付帯」の違いがあり、状況によってはカバーしきれないケースも考えられます。
本記事では、アメックスプラチナの旅行保険の内容を詳しく解説し、別途旅行保険への加入が必要なケースや、特にマイルを利用した旅行の際に最適な考え方について検証します。
1. アメリカン・エキスプレス・プラチナカードの旅行保険の概要
アメックスプラチナには、海外・国内ともに充実した旅行保険が付帯しています。ただし、補償の適用条件には「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があり、これを理解することが重要です。
自動付帯と利用付帯の違い
自動付帯は、カードを持っているだけで保険が適用されるタイプで、旅行代金をそのカードで支払わなくても補償を受けられます。
一方、利用付帯は、旅行に関連する費用（航空券やツアー代、公共交通機関の料金など）をそのカードで支払った場合にのみ保険が適用される仕組みです。
| 付帯方式 | 適用条件 | 主な補償内容 |
|---|---|---|
| 自動付帯 | カードを持っているだけで適用 | 傷害死亡・後遺障害（5,000万円）、傷害・疾病治療（1,000万円）など |
| 利用付帯 | 旅行代金をカードで支払う | 傷害死亡・後遺障害（1億円）、傷害・疾病治療（1,000万円）など |
アメックスプラチナでは、旅行代金をカード決済すると補償額が大きくなるのが特徴です。
2. アメックスプラチナの旅行保険は十分か？
クレジットカード付帯の保険だけで十分かどうかは、補償内容を理解した上で考える必要があります。以下、主な補償項目をチェックしてみましょう。
補償金額の比較（海外旅行）
アメックスプラチナの旅行保険について、自動付帯と利用付帯の違いは「傷害死亡・後遺障害」の補償金額のみで、その他の補償内容（傷害・疾病治療費用、携行品損害、救援者費用など）は同じという特徴があります。
また、一般的な旅行保険（損保ジャパンなど）と比較すると、賠償責任補償の金額が低めなのがアメックスプラチナの弱点と言えます。一方で、傷害治療費用・疾病治療費用、救援者費用などの補償額は同等または上回る内容となっており、特に海外旅行においては高額な医療費に対応できる強みがあります。
したがって、アメックスプラチナ単体では賠償責任補償が不安要素となるため、必要に応じて不足を感じる部分の保険加入を検討するのが良いでしょう。
| 補償内容 | 自動付帯 | 利用付帯 | 一般的な旅行保険（例：損保ジャパン） |
|---|---|---|---|
| 傷害死亡・後遺障害 | 5,000万円 | 1億円 | 500万円〜3,000万円 |
| 傷害治療費用 | 1,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円〜2,000万円 |
| 疾病治療費用 | 1,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円〜2,000万円 |
| 賠償責任 | 5,000万円 | 5,000万円 | 1億円 |
| 救援者費用 | 1,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円〜2,000万円 |
| 携行品損害 | 100万円 | 100万円 | 30万円〜50万円 |
旅行保険に加入すべきケース
アメックスプラチナの保険でも十分な補償を受けられますが、以下のケースでは追加で旅行保険の加入を検討したほうがよいでしょう。
- 長期旅行（1ヶ月以上） → アメックスプラチナの補償期間は最大90日間のため、それ以上の滞在には別途保険が必要。
- 医療費の高い国（アメリカ・カナダなど） → 傷害・疾病治療費用は1,000万円までだが、医療費が非常に高額な国では不足する可能性がある。
また、複数のクレジットカードを所有している場合、死亡保険金以外（傷害治療費用、疾病治療費用、携行品損害など）は合算して適用可能です。そのため、アメックスプラチナに加え、傷害・疾病治療費用が手厚い他のカードを持っていれば旅行保険に加入する必要がない場合もあります。
3. マイルを使った旅行の際の最適な考え方
マイルで航空券を発券した場合、クレジットカードの「利用付帯」が適用されるのかは多くの人が疑問に思うポイントです。
マイル利用時の旅行保険適用条件
- 航空券をマイルで発券した場合
- 燃油サーチャージをアメックスプラチナで支払えば「利用付帯」の補償が適用される。
- ただし、税金・手数料を他のクレジットカードで支払った場合は適用されない可能性がある。
- ホテルをポイントで予約した場合
- 航空券と異なり、宿泊費自体がカード決済されないため、宿泊関連の補償は自動付帯分のみ適用される。
マイル旅の際の最適解
マイルを利用して航空券を発券する場合、旅行保険の適用を最大限活用するためには、以下の支払いをアメックスプラチナで行うのがおすすめです。
- 燃油サーチャージをアメックスプラチナで支払う（利用付帯適用）
- 現地でのホテル宿泊費・レンタカー料金などはカード決済する（賠償責任・携行品損害補償）
- 傷害・疾病治療費用に不安がある場合は、追加で海外旅行保険に加入する
（もしくは別のクレジットカードの保証内容を確認の上問題なければ海外旅行保険は加入せず）
4. 結論：アメックスプラチナの旅行保険は十分か？
アメックスプラチナの旅行保険は非常に手厚いですが、ケースによっては別途旅行保険を検討すべきです。
クレジットカード付帯の保険で十分なケース
- 短期（1週間以内）の旅行
- 東南アジアやヨーロッパなど医療費の比較的安い地域
- 移動・宿泊費をアメックスプラチナで決済した場合（利用付帯の適用）
追加の旅行保険を検討すべきケース
- アメリカ・カナダなど医療費の高い国への旅行
- 長期滞在（1ヶ月以上）
- 家族旅行（補償対象を確認し、足りない分を補う）
アメックスプラチナの旅行保険を最大限活用しながら、不足する補償がないかを確認し、場合によっては追加の旅行保険でカバーするのが最適な選択といえます。
まとめ
アメリカン・エキスプレス・プラチナカードの旅行保険は、補償額が高く非常に優秀ですが、自動付帯・利用付帯の違いを理解し、補償範囲を確認することが重要です。
また、マイルを利用した旅行では、燃油サーチャージをカード決済することで、利用付帯の補償を適用できるため、支払い方法を工夫することがポイントになります。
旅行保険を別途加入すべきかどうかは、旅行先・滞在期間などを考慮して判断しましょう。賢く旅行保険を活用し、安心して旅を楽しんでください。
本記事は下記の規定集を参考に作成しました。
