香川県庁舎東館 1958 丹下健三(Kenzo Tanke)

戦後日本を代表する建築家・丹下健三氏が設計した香川県庁舎東館(1958年竣工)

丹下健三生誕100年を記念したプロジェクト(2013年)「丹下健三伝統と創造瀬戸内から世界へ」の際に香川県庁舎の建築ツアーが行われていてそちらに参加した際の写真等をご紹介したいと思います。

香川県庁舎東館とは

香川県高松市にある香川県の行政機関が入る建築

設計は当時の県知事 金子正則が丸亀市出身の洋画家 猪熊弦一郎(旧制香川県立丸亀中学校の先輩にあたる)から引き合わされたのが丹下健三であった。

丹下が猪熊から紹介されて香川に向かう道中、偶然にも同じ宇高連絡船の同じ客室に金子が乗り合わせており、船中で金子と話すうちに二人は意気投合し、とんとん拍子に設計の話が進んだと言われている。

設計されたものは丹下が影響を受けた建築家ル・コルビュジェによる近代建築の5原則を基にしたものではあるが日本の伝統的な建築様式、木造建築の柱と梁の水平垂直ラインをコンクリートで表現しており日本的な雰囲気を感じるものとなっています。

陶板壁画は 猪熊弦一郎の『和敬清寂』

東館の1階ロビーの木製や陶製の椅子、木製棚、石テーブルなどは丹下研究室が設計し、香川の桜製作所(ジョージ ナカシマの家具でも知られている)が製作しました。

陶板壁画は猪熊弦一郎の作品「和敬清寂」茶道の精神を表す言葉。

金子は式辞で「茶道の精神は民主主義の真髄である」と述べており、考えが違う人々が、一緒に生きるためには、お互いに尊敬し合わなければならない。 そうした心は、清らかで静かな心境からしか生まれないという茶道の言葉を戦後の民主主義的思想と相通じるものと考えていたと思われる。

和敬清寂(わけいせいじゃく)とは、茶道の心得を示す標語。意味は、主人と賓客がお互いの心を和らげて謹み敬い、茶室の備品や茶会の雰囲気を清浄にすることという意である。特に千家ではこの標語を千利休の定めた「和」、「敬」、「清」、「寂」を表す「四規」として重要視している。しかし利休と同時代の確かな資料には見られないことから、学術的には利休の言葉としては認められていない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

県庁ホールの内装や家具はヤクルトの容器デザインやキッコーマンの醤油差し、柏戸椅子などで有名なインダストリアルデザイナーの剣持勇が担当

壁面は個人的には桂離宮やモンドリアンの絵画を思わせると感じました。

屋上にはル・コルビュジェを思わせる屋上塔屋があります。

竣工当初は塔屋には喫茶室が設けられ、屋上各所にはカウンターやテーブル、椅子が置かれ

ビールなども飲むことができたようです。

また、屋上を覆うように白や黄色の鮮やかな天幕が張られていたとの事。

議会棟

東棟のさらに東にある議会棟はピロティーがありまさしくル・コルビュジェの近代建築の5原則を体現した建築になっています。

場所はJR高松駅からは車で5-6分程度、徒歩では20分程度の場所にあります。

最後に

戦後復興の勢いと未来への希望を感じる素晴らしい建築です。

設計を担当した丹下健三、壁画を担当した猪熊弦一郎、県庁ホールを担当した剣持勇など

すごい人々が関わった素晴らしい建築。これはひとえに当時の県知事であった金子正則の美意識と熱量があったからではないかと思います。

あと、戦争未亡人の清和会という組織が長いあいだ、丁寧に県庁の掃除を続けていたとの事です。その日々の積み重ねが今日まで県民に愛される建物として残って来たのだと思います。

香川県にはその他にも丹下健三の設計した体育館やイサムノグチのアトリエなど魅力的な場所が多いところです。

食べ物も美味しいところなので建物を見に行きがてら旅行されてはいかがでしょうか。

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