
香川県高松市の「香川県立体育館」は、戦後日本を代表する建築家 丹下健三 によって設計され、1964年に竣工しました。
船をイメージさせる大屋根と彫刻的なコンクリート造形は、日本の近代建築の金字塔として国際的にも高く評価されています。
しかし現在、この名建築は 取り壊しか保存か の岐路に立たされ、大きな議論を呼んでいます。
建築の概要
- 竣工年:1964年
- 構造:鉄筋コンクリート造、地上3階・地下1階
- 設計:丹下健三+都市建築設計研究所/集団制作建築事務所
- 構造設計:岡本建築設計事務所
- 施工:清水建設株式会社
- 家具デザイン:剣持勇デザイン研究所
- 受賞歴:第7回(1966年)建築業協会賞
吊り構造で支えられた大屋根は、両端が反り上がり瀬戸内の船を思わせる曲線美を描きます。内部の椅子も剣持勇のデザインで、細部にまで意匠が行き届いていました。
1966年には 建築業協会賞 を受賞。日本建築史に名を刻む存在です。






場所はJR高松駅からは車で7分程度、徒歩では30分程度の場所にあります。
閉館までの経緯
2014年、耐震改修の調査で 天井落下の危険性 が指摘され、改修工事の入札も不調に終わりました。
同年9月に閉館となり、以降は倉庫として使用。敷地も立ち入り禁止とされています。
その後、ニューヨークを拠点とする ワールド・モニュメント財団(WMF) が「危機遺産」に登録し、国際的にも保存が求められています。
現在の状況(2025年)
2025年現在、香川県はこれまで 取り壊しを前提とした再開発 を進めてきました。
しかし最近になって、ホテルへの用途変更を目指す団体が名乗りを上げたことで情勢が変化。保存の可能性が再び注目されています。
さらに、建築家・丹下健三氏の息子である 丹下憲孝氏(丹下建築設計事務所) も声明を発表し、父の代表作を未来に残すべきだと強く訴えています。
この動きは、単なる保存論争にとどまらず、国際的にも注目を集め始めています【参考:OHKニュース、Yahooニュース】。
世界的建築を「活かす保存」へ
香川県立体育館は、香川県庁東館と並ぶ丹下建築の傑作であり、高松市にとって大きな財産です。
観光拠点としてのポテンシャルも高く、ホテルや文化施設としての活用は、地域経済と文化の両面に資する可能性を秘めています。
もちろん耐震改修や維持費といった課題は避けられませんが、安易な解体ではなく、 「活かす保存」 という選択肢を真剣に模索すべき時期に来ているのではないでしょうか。
アクセス
- JR高松駅から車で約7分、徒歩で約30分。
市街地に近く、観光資源としての立地にも恵まれています。
おわりに
香川県立体育館は、日本のモダニズム建築を代表する作品であり、国際的にも保存が求められてきました。
現在、解体を前提に進んできた県の方針に対し、ホテル転用を模索する団体の登場や、丹下憲孝氏の声明によって、新たな局面を迎えています。
高松にこの名建築が未来の形で残されるのか、それとも姿を消してしまうのか――。
その選択は、地域だけでなく日本の建築文化全体に大きな意味を持つはずです。
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