鹿児島から沖縄までは、飛行機だけでなくフェリーでも移動できます。現在、旅客が利用できる定期航路は「マルエーフェリー」と「マリックスライン」の2社が運航しており、所要時間は約25時間。大阪や神戸からもかつて旅客フェリーがありましたが、現在は貨物専用となっているため、沖縄航路の旅客フェリーは鹿児島発着に限定されます。
この記事では、鹿児島〜沖縄間のフェリー航路について、運航会社や所要時間・料金、予約方法をわかりやすく解説します。さらに、実際の乗船記も内部リンクで紹介しているので、乗船前に知っておきたいリアルな体験談もチェックできます。
- 鹿児島〜沖縄航路を運航するフェリー会社(マルエーフェリー・マリックスライン)の基本情報
- 所要時間と運賃の目安
- 予約方法と注意点
- 船内設備や過ごし方の概要
- 実際の乗船体験記(関連記事リンクあり)
鹿児島〜沖縄フェリーの基本情報
鹿児島と沖縄を結ぶ旅客フェリーは、現在「マルエーフェリー」と「マリックスライン」の2社がそれぞれ1日交互に運航しています。いずれも鹿児島新港を出発し、奄美大島・徳之島・沖永良部島・与論島を経由して沖縄本島に到着します。沖縄本島ではまず 本部港(もとぶこう) に寄港し、その後に 那覇港(泊ふ頭) に着岸する流れです。
- 運航本数:1日1便(マルエーとマリックスが交互に就航)
- 所要時間:鹿児島〜那覇間 約25時間前後
- 途中寄港地:奄美大島(名瀬港)、徳之島(亀徳港)、沖永良部島(和泊港)、与論島(与論港)、本部港(沖縄本島)
- 発着港:鹿児島新港 ⇔ 那覇港(泊ふ頭)
この航路は、鹿児島から沖縄へ渡る唯一の旅客定期航路であり、観光客だけでなく地元住民や物流を支える重要な交通手段となっています。
運航会社と特徴(マルエーフェリー・マリックスライン)
鹿児島〜沖縄航路は、マルエーフェリー(A-Line) と マリックスライン の2社が交互に運航しています。航路や所要時間はほぼ同じですが、船の雰囲気や快適性にはそれぞれの特色があります。
マルエーフェリー(A-Line)
- 運航船:フェリー波之上(2012年9月就航)、フェリーあけぼの(2008年7月就航)
- 船内は昔ながらのフェリーらしい雰囲気。
- 和室や大部屋もあり、グループやファミリーでの利用にも向いている。
マリックスライン
- 運航船:クイーンコーラルプラス(2008年12月就航)、クイーンコーラルクロス(2021年11月就航)
- 船内は少し「今どき」な雰囲気で開放感がある。
- 個室のバリエーションもあり、プライベート重視の旅行者におすすめ。
体験からの印象
筆者自身、両社の2008年就航の船に乗船しましたが、どちらかといえば マリックスラインのほうが快適 に感じました(ただし乗船した等級が異なるため単純比較はできません)。
おすすめの選び方
鹿児島〜沖縄は25時間を超える長旅になるため、できれば どちらの船会社でも新しい船に当たるスケジュールを選ぶ のがおすすめです。設備の新しさが快適さに直結するので、旅行計画の際には運航日を確認してみると良いでしょう。
フェリーの船室と設備(マルエーフェリー・マリックスライン)
鹿児島〜沖縄航路を運航するマリックスラインとマルエーフェリーは、それぞれ2隻体制で交互に運航しています。どちらの船も25時間を超える長時間航海に対応できるよう設計されており、個室・寝台・大部屋など多彩な客室タイプが用意されています。
マルエーフェリー
フェリーあけぼの(2008年就航)
ベーシックな設備ながら、必要最低限の快適さは確保されており、長時間の移動も問題なく過ごせます。大部屋タイプの2等室では、旅人同士のふれあいが楽しめることもあります。
フェリー波之上(2012年就航)
比較的新しい船で、設備も全体的に充実しています。女性専用エリアやバリアフリースペースもあり、安心して利用できる配慮がなされています。静かで落ち着いた雰囲気の船内が特徴です。
マリックスライン
クイーンコーラルプラス(2008年就航)
旧型の船ですが、船内は定期的なメンテナンスが行き届いており、一定の快適さが保たれています。リーズナブルな価格で利用できる2等寝台から、よりプライベート性の高い個室まで幅広い選択肢があります。
クイーンコーラルクロス(2021年就航)
最新鋭の船で、設備・清潔感・内装デザインともに非常に高い水準です。洋室タイプの2等寝台も整備されており、カプセルホテルのような感覚で快適に過ごすことができます。ファミリーや女性の一人旅にも安心な構造です。
所要時間と料金の目安
鹿児島〜沖縄航路は、奄美諸島の島々を経由するため、所要時間はやや長めです。運賃は等級(客室クラス)によって幅があり、予算や目的に合わせて選ぶことができます。
所要時間
- 鹿児島発 → 沖縄(那覇)着:約25時間
- 沖縄(那覇)発 → 鹿児島着:約25時間30分
※天候や海況、寄港地での乗降状況により変動します。
鹿児島〜沖縄(例:2025年5月29日出港)

沖縄〜鹿児島(例:2025年5月29日出港)

運賃(大人片道)
運賃についても両者同じ運賃体系のようです。
現状旅客運賃と燃料サーチャージ(船舶の燃料代の価格変動を調整する費用)を合計した金額が合計運賃となります。
2025年8月1日〜10月31日までの運賃例(鹿児島〜那覇間):
- 特等:38,880円
- 1等:31,440円
- 2等寝台:22,840円(マルエーフェリーの場合、2等寝台A)
- 2等寝台B:18,640円(マルエーフェリー)
- 2等洋室:17,600円(マリックス)
- 2等室:16,560円
※運賃はシーズン(通常期/繁忙期)や船会社によって変動します。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
各種割引制度(マルエーフェリー・マリックスライン)
鹿児島〜沖縄航路では、通常の運賃に加えて複数の割引制度があります。条件や対象は船会社によって微妙に異なるため、利用前に確認しておくと安心です。
マルエーフェリー主要割引制度
- 一般往復割引
同区間・同等級で14日以内に往復を購入した場合、復路が1割引(特等・1等・2等が対象)。 - 島発往復割引
奄美各島・沖縄から本土へ戻る際に利用可能。2等は復路が3割引、その他等級は1割引(島在住者限定)。 - 学生割引
2等運賃が2割引(101km以上利用/学生証提示要)。 - 団体割引
15名以上で適用。一般団体は1割引、学生団体の2等は3割引、小児団体は1割引。 - 障がい者割引
第1種・1級(介護者含む)は全等級5割引。第2種は2等運賃のみ本人5割引(101km以上/証明書やミライロID提示要)。
マリックスライン主要割引制度
- 一般往復割引
14日以内の同区間・同等級往復で復路1割引(同時購入必須)。 - 島発往復割引
奄美・沖縄発の2等往復で復路3割引(特等・1等は対象外/14日以内)。 - 学生割引
2等運賃が2割引(101km以上利用/学生証または証明提示要)。 - 団体割引
15名以上で適用。一般団体は1割引、学生団体2等は3割引、小児団体は1割引。 - 障がい者割引
第1種・1級(介護者含む)は全等級5割引。第2種は2等のみ本人5割引(101km以上/証明書やミライロID提示要)。
共通の注意点
- 割引の重複は不可。
- 10円未満の端数は切り上げ。
- 燃料油調整金などの付帯料金には割引適用なし。
- 奄美群島住民・準住民向けの制度や「結いパスポート(周遊券)」など、地域限定・期間限定割引も実施。
まとめ
一般旅行者が利用しやすいのは「往復割引」「学生割引」。一方、島発割引や地域限定割引は居住証明が必要になるため、地元住民向けの制度です。旅行者は 往復割+学割の組み合わせ(重複不可) を意識して選ぶとコスパよく移動できます。
予約方法と注意点
予約方法
沖縄航路フェリーの予約は、Web予約と電話予約の2種類があります。
Web予約
沖縄航路のフェリーは、以下の3つのWebサイトから予約が可能です。
- スマートフェリー予約(船会社がメインで案内している公式的な位置づけ)
- WILLER TRAVEL
- skyticket
ただし、スマートフェリー予約が最も公式に近く、運航会社が案内しているため、まずはこちらを利用するのが基本になります。
一方で、WILLER TRAVELやskyticketは旅行系ポータルサイト経由の予約なので、普段利用しているアカウントや決済方法を使えるメリットがあります。
なお、2024年4月からWeb予約が始まったばかりのため、Web用に割り当てられている席数と実際の空席数に差があるケースがあります。
そのため、Webで空席が見つからない場合は、電話予約で確認するのが確実です。
電話予約
電話予約は運航会社の窓口で受け付けており、Webに出ていない座席状況も確認できます。
どちらも便数が限られているため、夏休み・年末年始などの繁忙期は特に早めの予約がおすすめです。
キャンセル・変更について
鹿児島〜沖縄航路を運航するマルエーフェリーとマリックスラインのキャンセル料(取消料)は、基本的に同じ規定となっています。
| 取消期間 | 取消料 |
|---|---|
| 船便の指定のない引換券 | 1件につき200円 |
| 乗船日の7日前まで | 1件につき200円 |
| 乗船日の6日前から2日前まで | 券面記載金額の10%の額 |
| 乗船日の前日から出港前まで | 券面記載金額の30%の額 |
| 出港後 | 券面記載金額の100%の額 |
- 取消料は最低200円(控除額が200円未満の場合は200円)となります。
- 電話予約のみの取消しは手数料不要の場合もありますが、必ず各社へ連絡が必要です。
- 天候等の理由による欠航時のキャンセルは取消料が発生しません。
【参考URL】
- マルエーフェリー 取消手数料:
https://www.aline-ferry.com/kagoshima/fare/cancel/ - マリックスライン 予約・取消案内:
https://marixline.com/tutorial/#reservation
注意点
- 運航状況の確認:台風や天候による欠航が多いため、必ず事前に公式サイトで運航情報をチェック。
- 手続き締切:出港30分~1時間前までに乗船手続きを済ませる必要あり。
- 割引利用:学生割引や障がい者割引などを使う場合は、証明書の提示が必須。
鹿児島から沖縄へのフェリーは到着が夜になるため、那覇港周辺のホテルを事前に予約しておくと安心です。長時間の船旅の後は、すぐに休める宿泊先があると翌日の観光や出張もスムーズにスタートできます。
まとめ
鹿児島と沖縄本島(那覇・本部)を結ぶ長距離フェリーは、飛行機では味わえないゆったりとした移動時間を楽しめる貴重な手段です。
- 運航会社はマルエーフェリーとマリックスラインの2社で、それぞれ2隻体制で交互に運航。
- 運賃は 片道・往復・割引制度(学生割引・団体割引など) が用意され、条件次第でお得に利用可能。
- 船内は 2等大部屋から特等個室まで幅広い客室 が選べ、長時間でも快適に過ごせる設備が整っています。
- 予約はWebまたは電話で可能ですが、Web枠と実際の空席が異なる場合があるため注意が必要。
- キャンセル料は両社ほぼ同一で、規定に沿って手数料が発生します。
長時間の船旅だからこそ、 「どの船・どの等級に乗るか」 が快適さを大きく左右します。
旅行スタイルや予算に合わせて船会社・客室を選び、ぜひ非日常感あふれる沖縄航路フェリーの旅を楽しんでください。
関連記事
2025年1月に、実際に鹿児島から沖縄へフェリーで乗船してきました。
片道25時間以上かかる長距離航路は初めての体験でしたが、船内の設備や過ごし方、途中寄港地の雰囲気までリアルに知ることができました。
その体験をまとめた 乗船記ブログ記事 では、写真付きで船内の様子を詳しく紹介しています。
また、実際に乗ってみて「持っていけば良かった」と感じた必需品や便利アイテムも記事にまとめています。
これから鹿児島〜沖縄のフェリーを利用する方にとって、航海のイメージづくりや準備の参考になるはずです。






