電車移動のたびに券売機に並ぶのが面倒…そんな方に便利なのが、JR九州が提供する 「QRきっぷ」 です。
スマートフォンから簡単に予約・購入でき、改札ではスマホをかざすだけ。紙の切符が不要になるだけでなく、通常のきっぷよりも割安な価格で乗車できるのが大きな魅力です。
この記事では、QRきっぷの特徴と料金の仕組みをわかりやすく紹介し、実際に筆者が利用した体験をもとに、購入・利用方法、注意点まで詳しく解説します。
- JR九州のQRきっぷの基本的な仕組みと対象区間
- 通常きっぷとの料金比較(区間別の実例つき)
- QRきっぷの購入・利用方法と注意点
- 払い戻し・領収書・途中下車などのよくある疑問
- 実際に使ってわかったメリット・デメリット
JR九州のQRきっぷ(QRチケレス)とは?

JR九州が提供する 「QRきっぷ(正式名称:QRチケレス)」 は、紙のきっぷを発行せず、スマートフォンのQRコードを使って改札を通過・乗車できるチケットレス乗車サービスです。
JR西日本の「チケットレス特急券」やJR東海の「EXアプリ」に近い仕組みで、スマホ1つで予約・購入・乗車が完結します。
① サービスの仕組み
- QRチケレスは、JR九州インターネット列車予約サービスで対象きっぷを予約・決済し、「QR乗車」を選ぶことで利用可能です。
- 予約完了後、スマートフォンに発行されたQRコードを 改札機または専用リーダーにかざすだけ で入場・出場できます。
- 紙の乗車券の受け取りは不要で、スマホ画面上で乗車状況(入場済・出場済)がリアルタイムで更新されます。
② 対応区間と対象列車

- サービス開始:2024年9月26日(北部九州の特急・西九州新幹線区間でスタート)
- エリア拡大:2025年7月8日 から九州全域の在来線特急・D&S列車(観光特急)にも対応
- 対応路線例:
- 鹿児島本線
- 日豊本線
- 長崎本線
- 大村線
- 久大本線
- 肥薩線
- 豊肥本線 など
- 旅行商品専用列車(例:「或る列車」「かんぱちいちろく」)は対象外。
▶ 特急を含む多くの区間で利用できるため、観光・出張ともに利便性が大きく向上しています。
③ 利用方法(ステップ)
- JR九州インターネット列車予約サイトまたは JR九州アプリ で対象きっぷを予約
- 支払い完了後、「QR乗車」を選択
- スマートフォンに表示されたQRコードを改札機にかざして入場
- 改札通過後、アプリ上のステータスが「入場済(緑)」→「出場済(灰)」に自動更新
▶ スクリーンショットでの乗車は不可。必ずアプリまたはブラウザ画面でQRコードを提示する必要があります。
④ 利用時の注意点
- クレジットカード決済のみ対応(現金不可)。
- 対象きっぷは「乗車券+特急券一体型」のネット限定商品(例:「九州ネットきっぷ」「かもめネットきっぷ」など)に限られます。
- 乗車券単独では利用できません。
- 2025年7月以降は複数人分のQRコードをまとめて表示できるようになり、家族旅行などでも使いやすくなりました。
- QRコードは必ずリアルタイム表示で利用する必要があります(スクショNG)。
⑤ サービス拡大とキャンペーン
- QRチケレスの全線拡大を記念して、2025年7月〜8月に「みどりの改札へ一直線 JRキューポプレゼントキャンペーン」が実施されました。
- 利用者にはJRキューポポイント特典が付与され、今後もキャンペーンが継続的に行われる可能性があります。
料金が安いって本当?通常きっぷとの比較
JR九州のQRきっぷ(QRチケレス)は、紙のきっぷを購入するよりも割安になるケースが多いのが大きなメリットです。
ここでは実際の料金例をもとに、通常きっぷとの価格差をわかりやすく比較します。
① QRきっぷはネット限定の割引料金
QRきっぷは、JR九州インターネット列車予約限定の「乗車券+特急券一体型きっぷ」として販売されます。
券売機やみどりの窓口で購入する通常の紙きっぷと異なり、ネット限定の特別価格が適用されるのが特徴です。
- 購入方法:インターネット列車予約(Web・アプリ)
- 乗車券と特急券を一括購入
- 座席指定も可能(自由席きっぷもあり)
- 発券不要(QRコードでそのまま改札へ)
② 主要区間の料金比較(例)
区間 | 通常きっぷ (特急指定席) | 九州ネット きっぷ | 差額 | 九州ネット 早特3 | 差額 |
---|---|---|---|---|---|
博多 ⇔ 佐世保 | 4,950円 | 2,450円 | ▲2,500円 | 2,300円 | ▲2,650円 |
博多 ⇔ 別府 | 6,910円 | 3,500円 | ▲3,410円 | 2,950円 | ▲3,960円 |
博多 ⇔ 大分 | 6,910円 | 3,500円 | ▲3,410円 | 2,950円 | ▲3,960円 |
小倉 ⇔ 別府 | 5,190円 | 3,450円 | ▲1,740円 | 2,900円 | ▲2,290円 |
小倉 ⇔ 大分 | 5,190円 | 3,450円 | ▲1,740円 | 2,900円 | ▲2,290円 |
このように、主要区間ではおおむね 2,000〜4,000円前後の割引が期待できます。
とくに長距離特急ほど割引率が高くなる傾向があり、旅行・出張の交通費を抑えるのに最適です。
③ QRきっぷの料金が安い理由
- ネット専用商品として販売コストを抑えている
- 発券を省略し、券売機・窓口の運用コストを削減
- モバイル端末での決済を促進し、サービス全体を効率化
▶ つまり、JR九州側のコスト削減分が「割引」というかたちで利用者に還元されています。
スマホで簡単!QRきっぷの購入・利用方法
JR九州のQRきっぷ(QRチケレス)は、アプリまたはWebサイトから数分で予約・購入でき、改札ではスマホをかざすだけでスムーズに乗車できます。
紙のきっぷを受け取る手間がなく、スマホ1台ですべて完結するのが最大の魅力です。
① 購入手順(ステップ解説)
- 公式サイトまたは JR九州アプリ にアクセス
→ JR九州インターネット列車予約ページでログインまたは会員登録(無料)。 - 乗車区間・日時・列車を検索
→ 特急列車などQRチケレス対応区間を選択。 - 「QR乗車」を選択して予約・決済
→ 決済方法はクレジットカードのみ対応。 - QRコードを表示
→ 予約完了後、スマートフォン画面にQRコードが発行されます。 - 改札機または専用リーダーにQRをかざすだけで乗車完了
→ 入場・出場ともQRコードでスムーズに通過できます。
② 改札での利用方法
- 画面上に発行されたQRコードをそのまま改札機にかざします。
- 入場後はアプリ上でステータスが「入場済(緑)」、出場後は「出場済(灰)」と自動で切り替わります。
- スマホの画面が暗くなっていると反応しにくいので、事前にロック解除しておきましょう。
▶ スクリーンショットでの乗車は不可なので注意。必ずアプリまたはブラウザ画面でQRコードを表示してください。
③ 複数人での利用もOK
- 2025年7月以降は、複数人分のQRチケットをまとめて表示可能になりました。
- 同行者全員のチケットを代表者のスマホにまとめて表示・改札で利用できます。
- ただし、途中で別行動をする場合は同行者の分を個別に分ける必要があります。

④ 乗車当日の注意点
- スマホの電池切れに注意(モバイルバッテリーがあると安心)。
- インターネット通信が必要なため、圏外や通信不良時はQRコードの再取得ができない場合があります。
- 駅係員に連絡すれば改札対応可能ですが、事前にQRを表示しておくとスムーズです。
領収書や乗り越し・払い戻しなどの注意点
JR九州のQRきっぷ(QRチケレス)は非常に便利ですが、紙のきっぷと違って「途中下車」「乗り越し」「払い戻し」「領収書」の扱いが少し異なります。
ここではよくある疑問や注意点をまとめました。
① 領収書の発行について
- QRきっぷでは改札での領収書発行は不可です。
- 購入完了後、JR九州インターネット列車予約の「予約履歴」ページからWeb領収書を発行できます。
- 発行した領収書はPDFで保存・印刷可能。経費精算などにも対応可能です。
▶ 紙のきっぷのように改札や券売機での発行はできないため、事前にWebからダウンロードしておきましょう。
② 乗り越しの対応
- 予約した区間を超えて乗車した場合は、乗り越し・経路変更・方向変更の取扱いはありません。別途乗車として扱われます。
- QRコードでは途中下車の記録ができないため、改札係員の対応となります。
- 精算分は別途通常運賃がかかるため、あらかじめ区間を確認して購入するのがおすすめです。
③ 途中下車はできない
- QRきっぷは「乗車券+特急券一体型」のネット専用商品であり、途中下車は不可です。
- 一度改札を出ると、そのきっぷは無効になります。
- 複数の駅を回る場合は、区間を分けて複数のQRきっぷを購入しましょう。
④ 払い戻し・キャンセル
- QRきっぷの払い戻しは、発車前であればWeb上から可能です。
- 手数料は商品や列車によって異なります(例:乗車券220円+料金券340円など)。
- 発車後は払い戻し額が0円となります。
- 受取前であれば何度でも変更可能、受取後は同一日・同一区間・同設備・同経路への1回のみ変更可です。
⑤ QRコードの再表示・トラブル対応
- スマホの電池切れ・通信障害などでQRコードが表示できない場合は、駅係員に申し出れば改札を通過可能です。
- QRコードは予約履歴から再取得可能です。
- スクリーンショットでは入場できないので、ブラウザやアプリから必ず再表示してください。
QRきっぷを使ってみた|実体験レビュー(小倉→大分)
ここでは筆者が実際に JR九州 のQRきっぷ(QRチケレス)を利用し、小倉〜大分間を移動した際の体験をもとに、購入から乗車までの流れ・便利だったポイント・注意点を紹介します
① 購入〜乗車までの流れ
今回の旅はフェリーで九州入りし、小倉駅へは連絡バスを利用。
そのため、バスの到着時間を見ながらスマホでリアルタイムにきっぷを購入しました。
- バス車内でJR九州インターネット列車予約にアクセス
- 小倉→大分行きの特急を選択し、クレジットカードで決済
- QRコードがすぐに発行され、そのまま改札へ
- 改札機にQRをかざすだけでスムーズに入場

▶ 券売機に並ぶ必要がなく、到着時間ギリギリでも余裕をもって乗車できたのが大きな利点でした。
② 改札での利用
- 改札機のQRリーダーにスマホのコードをかざすだけでOK。
- 物理的なきっぷがないため、取り出す手間がなく非常にスムーズに改札を通過できました。
- 座席指定も事前に完了しているので、すぐにホームへ移動可能です。


③ 利用して感じたメリット
項目 | 内容 |
---|---|
スマホで即時購入 | バスの到着時間を見ながら、駅に着く前に特急券を購入できた |
改札通過がスムーズ | QRをかざすだけで入場。券売機の列に並ぶ必要がない |
紛失リスクが低い | きっぷがスマホ内にあるので、落としたりなくす心配がない |
料金的にもお得 | ネット限定割引のため、紙のきっぷより割安になるケースが多い |
④ 注意点・感じたこと
- スクリーンショットでは改札を通過できないため、必ずブラウザまたはアプリでQRコードを表示する必要があります。
- 改札前にQRコードを表示しておくと、スムーズに通過できます。
- 今回は1人利用だったため、複数人利用に関しては未体験です。
小倉→大分間での利用では、「バス到着後にその場で購入→すぐ乗車」という柔軟さが非常に便利でした。
紙のきっぷを持ち歩く必要がなく、改札でもスマホをかざすだけでOK。特急利用のハードルが一気に下がると感じました。
こんな人におすすめ
- 旅行や出張などで時間に余裕がない人
駅に着いてからスマホで購入し、そのまま改札を通過できるため、発車直前の利用にも対応しやすいです。 - スマホで旅の手配を完結させたい人
予約、購入、乗車、領収書発行までスマホ1台で完結できます。 - フェリーや飛行機など複数の交通手段を組み合わせる旅
到着時間を見ながらきっぷを購入できるため、スケジュール変更にも柔軟に対応できます。 - できるだけお得に特急を利用したい人
ネット限定割引きっぷを活用すれば、紙のきっぷより安くなる区間もあります。 - 紙のきっぷの管理が面倒な人
紛失リスクが低く、荷物も少なく済みます。
まとめ
QRきっぷは、購入から乗車までをスマートフォン上で完結できる、利便性の高いサービスです。
紙のきっぷを事前に購入している場合と改札の手間は変わりませんが、移動中や発車直前に購入できる柔軟性が大きな特徴といえます。
特に複数の交通手段を組み合わせた旅や、時間が読みにくい移動では強い味方になります。